代替わりしても揺るがぬ信念
私は2代目として社長業を引き継いで5年になります。先代のやり方をただ踏襲するのではなく、私なりの方針を打ち出し、また、時代の流れも読みながら、会社を変革させていく必要はあるでしょう。しかし、これだけは守っていかなければ、と心に刻んでいる先代の教えがあります。それは「簡単に“無理”とは言うな」。私がイチ職人として自社で修業を積んでいた時から、口を酸っぱくして言い聞かせられてきました。
「ドアが壊れて、閉まらなくなった」「窓の断熱性能が低くて、冬場は暖房をつけても部屋が寒い」「キッチンが低すぎて作業中に腰が痛くなる」「お年寄りの転倒が不安で、早く手すりをつけたい」…などなど、お客様が私どもにお問い合わせをくださるのは、お住まいに関して困っている、何とかしたいと思っていることがあるからに他なりません。ご相談内容が難しいことだったとしても、頭ごなしに「うちでは無理です」とお返事をして、困っている方を突き放すようなことはしたくない。そんな想いが、創業時から当社の根底にあるのです。
例えば、お客様が求める部品がメーカーで廃盤になっていたら、「うちにはありません」で済ませるのではなく、「別メーカーのこの部品で代用ができますよ」などと、新たな解決策をご提案する。万一、私どもでは施工ができない場合でも、他に対応できる業者をお探ししてご紹介する。とにかく、どうすればお客様のお困り事を一番早く、ご満足いただける形で解決できるかをとことん考える。それが当社の信条なのです。
もちろん、ご相談内容によっては、最終的に「うちではできません」というお返事になる可能性もゼロではありません。しかし、お客様のお住まいの困り事を、自分の家もしくは親兄弟の家の問題のように親身になって考え、なんとかして解決しようと寄り添そう。その基本姿勢が、お客様からの信頼を呼び、結果として、今日までの地域の皆様との良好な関係と、安定した業績につながっているのだと自負しています。
私自身がその基本姿勢を守っていますし、社員一人ひとりにも、最も重要なこととして意識させています。少人数・小規模な会社で、成長過渡期の若手も多いので、まだまだ行き届かないところもあるかとは思います。だからこそ全員で日々技術を磨き、知識を学び、できることの幅を広げていく努力を続けています。
これからの十倉トーヨー住器
私自身、職人としてまだまだ勉強中です。一生、勉強です。社長である私が誰よりも知識と技術、そして成長意欲を持っていなければ、社員たちはついてきませんからね。時に背中を見せ、時に並んで工具を握り、“お客様の、お住まいへのお困り事を解決できることのやりがい”をともに味わいながら、皆で一歩一歩、成長していきます。まず直近の目標は、有資格の社員を増やして建築業許認可を取得すること。そうすれば現在より大規模な工事に自社で対応する権利を得ることができ、より一層、地域の皆様のお役に立てる存在になれますから。
ご家族の歴史と思い出が深く刻まれたマイホーム。誰しも、末長く住み続けたいと願うでしょう。その願いを叶えるためには、人と同じく住まいにも、何かあったらすぐに相談できる“かかりつけ医”のような存在が身近にあることが必須です。私どもは、そういう存在になりたいのです。「我が家に何かあったら、十倉に相談しよう」地域の皆様にそんな共通認識を持っていただき、そして、お家を継ぐお子さんやお孫さんにも「何かあったら十倉へ相談しなさいね」と、代々伝えていただけるような存在になれるよう、社員一同、精進を続けていきます。今後とも十倉トーヨー住器をよろしくお願いいたします。